温もり

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「咲…。」 咲は黙ったまま俺に近づいてくる。 よく見ると、目に涙を溜めている。 そして、あと半歩ほどの距離で止まると、泣きながら俺の胸に飛び込んできた。 「バカッ…。 自分が今どういう状況か分かってるの…?」 「やっぱり、知ってたのか…?」 咲は涙を拭いながら頷く。 「すごい騒ぎになってるんだよ…? どのニュースも大我と総司くんの話題で…。 しかもSJAT隊員を二人も殺したって…。」 俺は驚いた。 そこまで情報が速く伝わってたとは思ってもみなかった…。 「どうして俺達がここにいるって分かったんだ?」 総司が周りを警戒しながら咲に問う。 咲は俺から離れながら、 「家にいたらすごく外が騒がしくて、窓から外を見てみたの。 そしたら、二人がSJATから逃げてるのが見えて…。思わず追い掛けて来ちゃったの…。」 すると咲が、何かを思い出し、口ごもる。 どうした、と俺が訊くと、怯えたような声で、 「二人を追い掛けてる途中で、SJATが皆殺されてたの…。」 咲の言葉に、俺達はかなり驚いた。 俺達はてっきり、SJATは全員巻いたと思っていたからだ。
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