22人が本棚に入れています
本棚に追加
「咲…。」
咲は黙ったまま俺に近づいてくる。
よく見ると、目に涙を溜めている。
そして、あと半歩ほどの距離で止まると、泣きながら俺の胸に飛び込んできた。
「バカッ…。
自分が今どういう状況か分かってるの…?」
「やっぱり、知ってたのか…?」
咲は涙を拭いながら頷く。
「すごい騒ぎになってるんだよ…?
どのニュースも大我と総司くんの話題で…。
しかもSJAT隊員を二人も殺したって…。」
俺は驚いた。
そこまで情報が速く伝わってたとは思ってもみなかった…。
「どうして俺達がここにいるって分かったんだ?」
総司が周りを警戒しながら咲に問う。
咲は俺から離れながら、
「家にいたらすごく外が騒がしくて、窓から外を見てみたの。
そしたら、二人がSJATから逃げてるのが見えて…。思わず追い掛けて来ちゃったの…。」
すると咲が、何かを思い出し、口ごもる。
どうした、と俺が訊くと、怯えたような声で、
「二人を追い掛けてる途中で、SJATが皆殺されてたの…。」
咲の言葉に、俺達はかなり驚いた。
俺達はてっきり、SJATは全員巻いたと思っていたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!