第零章:落ちこぼれと呼ばれる少年

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「ちょっと待てぇ!話し合えばわかるはずだ!」 この大声を出しながら走って……逃げている少年は香住 真哉(かすみ まさや)。学園では『落ちこぼれ』、そう呼ばれ続けている少年だ。 一方、それを追っているのは…… 「待ぁぁぁてぇぇ!!!!」 南雲 澪(なぐも みお)この『落ちこぼれ』少年の幼なじみ。 そして、幼なじみであるが為に真哉の見張りを頼まれる少女。 「逃げるなぁぁぁああ!!!!」 何故彼が追われているかというと……話は少し前に遡る。    †   †   † 「ニ人組になって、組み手でもするか」 戦闘実技の授業中。 教科担任がそんな突拍子もない事を言い出した。 「今日は魔法じゃなかったんですか?」 疑問に思った生徒を代表して、一人の生徒が声に出して問い掛ける。 「あ?それは明日でもできる事に気付いた。今日は組み手の気分だ」  ……待てよ。ニ人組……澪?……殺される。 「ま~さ~や。組み手……やろっか」 満面の笑み、しかし何処か黒さを感じる笑みで言う少女。 その瞬間。 真哉は走り出した。 「あ、待て!」  ……捕まったら殺される……。    †   †   † 「お前と、組み手なんか、したら、死んじまうだろーがぁぁぁああ!!」 途切れ途切れの息でそう叫ぶ。
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