第零章:落ちこぼれと呼ばれる少年

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息は途切れ途切れになりつつあるものの、真哉のスピードは全く落ちない。 だんだんと距離が開き始めたその瞬間。 「もうっ!」 そう言った澪の周りに薄い黄色のオーラのような物が漂い始めた。 オーラを纏った澪のスピードは今までとは比べものにならない。みるみる差が縮まり始めた。 ……が、真哉の身体を青い……いや、蒼いオーラが包み込む。 蒼いオーラに包まれた真哉のスピードはさらに上がり、また差が開き始めた。 実は、この体に薄いオーラを纏わせる技術は、身体能力、魔法への耐性などを上げる技術で中等部で習う。 落ちこぼれと言われている真哉だが、この技術、一応『肉体強化の術』という魔法はとても上手く使える。 つまり、身体能力の上がり方が通常の人より大きいのだ。 まぁ元々、身体能力は高いのだが。しかし、この技術だけでは勿論試合には勝てない。 戦闘で使う魔法が苦手な真哉は落ちこぼれと呼ばれている訳だ。 しかし肉体強化を使うととにかく速い。しかし普段は隠している。何故なら、それをも馬鹿にされるから。だから能力を隠している彼だが今は違う。 なんたって、 「待ちなさい!!!!」 「いや、だ!!」 生死を決める鬼ごっこ中だから。
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