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その日、俺は病院の屋上にいた。ずっと部屋にいても気がめいるだけなので、散歩がてら風を浴びに来た。
後ろでは、真っ白なシーツがそよ風になびいている。俺は屋上の金網越しに外の風景を眺めていた。
ビルは少なく、近くに大きな公園があり、他にも緑が点在している。
(まるで、ドラマみたいな屋上だな。)
俺がそんな思いにふけっていると、ふと何かの気配を感じた。
(何だ、これ・・・)
それに違和感を感じ、後ろを振り返ると見知らぬ美女がそこにいた。
長い金髪に茶色の目。変わった服装をしていて、おまけにパラソルまでさしている。どう考えても病院に似つかわしくない格好だ。俺がそんなことを考えていた時だった。
「初めまして、水無月颯真。」
名前を呼ばれ意識を現実に戻すが、いくら記憶を探ってもこの女性にあったことがない。
それ以前にどうやってここに来たんだ?
「以前どこかでお会いしましたか?」
「いえ、会ったことはないけど、私はあなたのことをしってるわ。」
俺の問いに微笑みを浮かべながら女性は答える。
あれか、ストーカーか?
「いっとくけど、ストーカーじゃないわよ。」
「それは残念。あなたのような美女のストーカーなら大歓迎なんですが。」
考えていたことを当てられた焦りを出さないように冗談を言ったが、 女性にあら、お世辞が上手ね。 とかわされる。なぜ冗談かって?そりゃ、いくら美女でもストーカーは怖いのさ。
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