第1章 ―幻想郷―

3/4
前へ
/8ページ
次へ
「なら、なぜ俺の名前を知っているんですか?」 「だってあなたが小さい時から見ていたもの。」 予想外すぎる答えがかえってきた。小さいころから見ていただと? しかも、あなたが9歳ぐらいのころからかしらと続けてきた。 「冗談はやめてください。会ったことがないのになんで知ってるんです?それ以前にどうやってここへ?ドアの開く音なんかしなかったですよ?」 当然の質問。そうだ、この女性が現れたときにはドアの開く音なんかしなかった。なら、どうやって来たんだ? 瞬間移動?そんなまさか。何かしらのトリックがない限りそんなことが起こるはずがない。 「どうやって来たかは後でわかるわ。でも、あなたも私を知っているはずよ。」 「は?」 女性がそんなを言うので、マヌケな声をだしてしまった。知っているだと?そんなはずは・・・ 「あなた、『神隠し』は知っているわよね。」 彼女は唐突に言った。 神隠し。人間が何の前触れもなく突然いなくなること。俺の地元の町にもそんな伝承が残っている。 「それがどうかs」 「それ、私がやってるの。」 俺の問いにかぶせるようにとんでもない回答がとんできた。 「なんだって!?」 つい叫んでしまった。目の前の女性が神隠しの元凶だと? 「昔読んだ本に書かれてなかった?」 女性がそういったときふと、俺が中学生の頃呼んだ本の記憶が思い出される。 神隠し。それは、名前と違って妖怪のしわざ。そしてその妖怪は女性の姿をしている。確か名前は・・・
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加