◇あの時の俺はラリった客を見て飲む酒が何にも勝る酒になってた

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あの日…朝から雨が降っていた憂鬱だった一日を変えたのは 今思えば訳の分らない女が来店したからだった つかないジッポのライターを何度も何度もつけようとしていた 俺にはその行動の意味すら分からなかった まぁ…夜の世界の店にくる女 とくにこの店にくる奴はどこか変わっている 俺の偏見かもしれないが。 でもライターを持って泣きながら何度も火をつけようとするその女が 何か違う《匂い》を発していた。 香水とは違う 女の色気の香りだ。 女は泣きながらこういった「火がつかないの…」
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