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その様子に晶はひぃっと青ざめる。
(も、もしかしてこの人も純粋そうに見えて実は腹黒ッ?!)
もしそうだったら、晶はこの世界の人間を誰一人として信じられなくなりそうだった。
そんな彼女の胸の内に気付くことなどなく、劉備は目をキラキラさせながら晶に詰め寄った。
「晶(しょう)殿ッ!!」
「な・・・なんですか・・・ていうか晶(あきら)ですってば」
「帰れないのであれば私のもとに身を寄せると良い!!」
・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・はい?」
「我が国に留まれば良いのだ!生活は保障する!それに晶(しょう)殿がいればきっと楽しいだろうしな!」
あまりにも邪気なく喜ぶその様に、晶は最早名前の訂正も忘れてポカンと彼を見つめた。
(身を・・・寄せる・・・?)
確かにその申し出は悪いものではない。
むしろ右も左もわからない場所でそのように好意的に申し出られることなど、喜ぶべきことだろう。
しかし、素直に喜べない。
仮にもここは戦国時代。
できることなら戦乱とは関係のないところで過ごしたかった。
(といっても無理よねーそんな都合のいいこと。むしろ腕の立つ人たちの傍にいたほうがかえって安全?)
一人内心で葛藤していると、ふと別の声が割り込んできた。
「差し出がましいとは思いますが、少々軽率かと存じます」
その声に顔を上げてみると、劉備の隣に立つ人物と目が合った。
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