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「貴女は私たちに保護されてからの半年近く、この蜀の国内から出ていません。勿論発見した状況から、貴女が私に会う前に誰かに会ったということも考えにくい。従って、国外に知り合いがいるとも考えられません。しかし倒れるほどに驚いたということは、貴女にとってその方がここにいることは想定外だったということでしょう。ということは貴女とその方が知り合いであるという前提が浮き上がります。そうでなければ同じ国から来たというだけの共通点しか持たないであろう人物の名を聞いて倒れるわけがありません。そこから導き出される答えは、恐らくその方は貴女と同じ時代の人物・・・未来から来た方、それも貴女とそれなりに親しくしている人物、ということですね?」
流石は孔明、と晶は首肯した。
欠片も動揺したそぶりを見せず、おまけに確認の形をとっているが、口調は既に確信しているものだった。
流石にこの事実を聞いた他の面々は瞠目している。
劉備なぞ口をあんぐりとあけて完全に機能停止してしまっていたほどだった。
その中でも比較的驚きの薄い者がいる。
「へ~え、晶ちゃん未来から来たっていうの本当だったんだね~」
晶は比較的後方にいた、つい今しがたちゃらっと発言した男に視線をやった。
彼の手前で苦虫を噛み潰したような顔をしている趙雲の顔もついでに見える。
「・・・文長」
「だってそれみんな思ってたっしょ?そりゃ晶ちゃんの人となりはここ半年見てきたから今更疑わないけど、未来から来たなんてパッと聞いたら眉唾物じゃないですか。こういうことがないとみんな本当の意味で納得なんかできなかったんじゃないかと思いますけど、どーですか?」
珍しいことに、その魏延の発言に趙雲は何も言い返さなかった。
彼の視線から逃れるように顔をそむける。
そして申し訳なさそうに・・・詫びるように晶を見た。
晶自身もなんとなくわかっていた。
信じてもらいたいとは思うが、確かにその話は突飛すぎて晶が彼らの立場だったとしても、証拠でもない限り信じることはできそうにもない。
だから晶はそんなことに傷ついてはいなかった。
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