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袖のない、運動するのに適した服(通称タンクトップ)。
首元に緩く巻かれている襟巻(通称ストール)。
もともとは作業用のために作られたといわれる、青系統のはきもの(通称ジーンズ)。
そしてそのはきものを留めるために腰に巻いている革製の帯(通称ベルト)。
彼はどこからどう見ても、晶的感覚の『現代人』の服装をしていた。
どうやらあまりにも目に馴染みすぎた服装だったので、全力でスルーしてしまったらしい。
いやでも今思うと「気付けよ自分っ!!」と全力で思う。
「え、今驚くの?なんだ、てっきり承知してスルーしてるのかと思ったよ。あまりにも反応がなくておじさん傷ついちゃったんだからな~」
(いや、そんなむくれられても・・・)
その他にも驚くことや慌てることがあったのでつい流してしまったのだ。
・・・いや、そうだと思いたい。
「ていうか何でそんな恰好なんですか?!むしろどこで手に入れたんですかそれっ?!!」
「企業秘密~♪」
「とか言ってる場合じゃない事態になってるのご存知ですか孫堅さんっ?!!」
「知らな~い。俺カンケーないもん」
(もんとか言いやがったこのオヤジ・・・!!)
どうしてここのメンズは気色悪い言動をしたがるのだろうか。
改めて思うが、顔はいいのばっかりなのに残念すぎる。
「あ、でも晶ちゃんがうちに来てくれるって言うなら教えてあげてもいいかな」
「なんですかその交換条件?!」
「だってなんか悪役っぽくてカッコいいじゃない。『情報が欲しくば俺の言うことを聞け』的な?」
いや、的な?とか言われても。
この数回の会話でどっと疲れた気がする晶である。
と思っていると、またもやあの怪音が周囲に響き渡った。
「何がカッコいいよ。いい加減その無駄にしかよく回らない口を閉じてよね。話が進まなくなるわ」
相当な痛みだったのか、最早孫堅は言葉もなくその辺の床の上を悶絶しまわっていた。
・・・結構凄まじい光景である。
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