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「晶。大丈夫。文長はこのくらいじゃへこたれない」
「・・・ツッコみ入れてもいいですか翼徳様?」
「間違えた。凹まない」
「なお悪くなってませんかね表現が?!」
とりあえず元気に張飛に食って掛かれるなら大丈夫だ。
晶はちょっと胸を撫で下ろした。
「・・・とりあえず返事が保留っぽくなっちゃったけど、私の答えは最初から決まってるよ。どのみち、貴女たちの国にいる客人が知り合いだろうとそうじゃなかろうと、私が確認しに行くことは既に決定事項だと思ってもらって構わないから。不安材料も解消したしね」
晶はそう言って尚香に微笑みかけた。
心配そうに事の成り行きを見守っていた尚香も、その言葉でホッとした表情になる。
「では出発はいつにしましょうか文台様」
話がまとまったところで、孔明は孫堅に伺いを立てた。
「んーそうだなぁ・・・」
(そういえば・・・)
と孫堅が悩んでいる傍ら、晶はちらりと孔明を盗み見る。
今でこそ蜀という国単位での客人扱いになっているが、晶はそもそも最初は孔明の客人という名目だったはずだ。
言わば彼女の身柄は孔明が預かっているといっても過言ではない。
その孔明が反対も苦言も投げず、すんなりと決定事項としてしまっていることが少々違和感を禁じ得ない。
そのような疑問を持たれることも想定済みだったのだろう。
孔明は晶の方を見もせずに淡々と答えた。
「別に貴女は私の管轄内で動かなければならないなどということはありませんよ。確かに観察対象が近くにいなくなるということは惜しいですが、貴女の行動にも注目したいところですから特に問題はありません。それとも行動を制限した方がいいですか?」
「いえ、制限しないというのであればありがたいですけど」
うっかり制限などされたら禁則事項ばかり求められそうなので、できればそれは丁重に辞退させていただきたい。
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