第1章 蜀漢の章

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第1話 ~出会いは唐突過ぎて、その上拒否権はナシ~ ピチチ・・・チュンチュン・・・ 「ん・・・朝・・・?」 雀の鳴き声に導かれるように彼女、東雲晶(しののめあきら)は眠い目を擦りながら身を起こそうとした。 その瞬間。 ばささささっっ!! 「いぎゃあっっ?!!!」 もはや年頃の乙女が出す声とは思えない悲鳴だが、そんなものは全力でかなぐり捨て、晶は瞬時に後ずさった。 なんだか馬鹿でかい羽音とともに、巨大な鳥が至近距離を横切ったのだ。 その巨大な鳥は、少し先で大きく半円を描き、晶の前まで戻ってきた。 そして彼女の目の前の地面にゆっくりと降りたち、珍しそうに彼女を見下ろしのだ。 (注:鳥の頭部は晶の頭三つ分くらい上にある) しかし、反射的に逃げを打ってしまったが、落ち着いて良く見てみれば猛禽類でもなし、生物に危害を加えるような鳥ではなさそうに見える。 (・・・ただし視力に対しては軽く暴力的ですらありそうだけどね) パッと見は異様なまでに図体のでかい、しかし人懐こそうな大きな目をした大人しそうな鳥ではある。 が、その体毛がショッキングピンクであるのはどうしたことなのだろう。近距離で眺めるのは明らかに視力に対するいじめである。 おまけに良く聞いてみると、その鳥の鳴き声は先程聞いた雀の声と同じだった。 と、そこでふと晶は正気づいた。 (ん?あれ?こんな鳥見たことないよ私? ていうかこんな大きな鳥私の部屋に入るわけな・・・) ・・・・・・・・・。 次の瞬間、晶は猛烈な勢いで辺りを見回し・・・数秒間絶句した。 「こっ・・・ここは何処――――――――――っっっっっっっ?!!!!!!!」 その大絶叫にも、目の前の鳥は驚いて逃げることもなく、相も変わらず不思議そうに彼女を見下ろすだけだった。
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