第1章 蜀漢の章

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「まぁそのような細かいところは良いではないか晶(しょう)殿」 「だから晶(あきら)ですってばいい加減覚えてくださいよちょっと」 そして理解力も犬並みであると密かに失礼な事を思っていたりもする。 「でだ、そなたは別の世界から来たと孔明が言っていたが、それは本当なのか?」 「はぁ・・・私にも良くわからないんですが、たぶんそうなんじゃないかと。一応私、貴方たちの名前知ってますし」 「そうなのか?!」 「あ、でも名前知ってるだけですけど。さすがにこの人は誰だって目の前に突き出されてもわかりませんよ?」 実際にそんなことをされて「何?わからないだと?私をたばかったな!!」とかゆー事態になって打ち首にでもされた日には死んでも死にきれない。 ついでに孔明は絶対に助けてはくれないだろうと確信している。 そしておそらく、いや間違いなく現在の状態を最も正確に把握しているのは、当事者である孔明であろう。 しかしその彼が会話に参加していないことが、晶にはイマイチ腑に落ちない。 と思っているうちに、重大な結論を聞いていないことを思い出した。 「ところで孔明さん・・・あ、孔明殿・・・って呼んだ方がいいのかな・・・」 「どちらでも構いませんよ。別にどのように呼ばれたからと言って、『不快だから打ち首にします』なんてことはたぶん言い出しませんから」 「・・・・・・・・・・・・じゃあ孔明殿」 「冗談ですよ。孔明さんでいいです」 (あんたならやりかねないっつーの!!しかもたぶんとか言ったしっ) コイツは読心術でも心得ているのだろうかと若干逃げ腰になりつつ、とりあえず最も聞かなければならないことを聞く。 「私はどうし「不可能ですね」 ・・・・・・・・・・・・。 「私まだ台詞言いきってな「ですから不可能です」 ・・・・・・・・・・・・。 新手のイジメか?と半ば本気で思った。 というか半ばも何も、孔明の輝くような笑顔を見ているうちにそれが確信となるのは五秒を要さなかった。
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