究極の選択

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柚子は持て余してハアッと大きな溜息をついた。 「とにかくあんたの相手してらんないから帰ってよ。私、仕事見つけなきゃなんないの」 「………仕事ってこれかよ」 そう言うと証は、さっきまで柚子がにらめっこしていたチラシをピラッと持ち上げて見せた。 ぎょっとして柚子は証の手からそれを奪い取る。 「か、勝手に見ないでよっ!」 すると証は頬杖をついてじっと柚子を見つめた。 「お前、風俗で働くのか?」 「………………」 「どういうとこなのかわかってんのかよ」 「わかってるわよ、もう子供じゃないんだから」 柚子はふいっと証から目を逸らした。 しばらくの沈黙の後、証がボソッと口を開いた。 「………お前、それでいいのかよ」 「しょうがないでしょ、そうでもしなきゃまとまってお金入んないんだから!」 叫ぶように言うと、ほんのわずか証の瞳に憐れむような色がよぎった。 それがますます柚子の自尊心を傷つける。 こんな男に、可哀相だなんて思われたくない。 柚子はぎりっと強く歯噛みした。 「お前、もうちょっと自分を大事にしろよ」 そこでとうとう堪え切れず、柚子は机を叩いて膝立ちになった。 「だったら、お金頂戴よ!!」 「………………」 証は呆気にとられたように目を丸くした。 柚子は更に続ける。 「同情なんかいらないわよ、お金頂戴よっ!」 「……………お前なぁ」 絶句していた証だったが、さすがに呆れたように額を押さえた。 「何もしてねぇのにただで金くれって言うのかよ」 「………じゃあ」 そこで柚子は証の胸倉を掴み上げた。 「じゃあ、私を買ってよ」 「…………は?」 「私の処女、三千万で買って」 証は大きく瞠目した。 信じられないものでも見るように柚子を見つめる。 「…………お前………」 やがて証は上擦るような声を出した。 「処女なのか」 …………食いつくとこ、そこかよ。  
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