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「ふざっけんな! 人が一体どんな思いで覚悟決めたと思って……っ」
再び証の胸倉を掴んで前後に揺さぶると、証は煩わしげに柚子の手首を掴んだ。
「るせーな、誰も嘘だとは言ってねーだろ」
「…………え」
柚子は動きを止めて証の顔を見つめた。
証は柚子の顎を掴み、くいっと自分のほうに仰向かせた。
「……そうだな。一日10万でどうだ?」
「…………え」
「まぁ、ざっと計算して10ヶ月……てとこか?」
「……………」
柚子はポカンと証の顔を見上げる。
「私を…雇うってこと……?」
証はニッと意味深な笑みを浮かべた。
「どうする?」
「ど、どんなことすればいいの。あんたって確か社長なのよね? そこで働かせてもらえるってこと?」
「………そうだな。お前に選ばせてやるよ」
そう言うと証は三本の指を柚子の前に突き出して見せた。
「三択だからな。
1、奴隷 2、下僕 3、傀儡
この三つのうち、どれか選べ」
「………………」
柚子は絶句して証の顔を凝視した。
なんだかとんでもない単語が並んだような……。
柚子の表情を見て、証は楽しそうにニヤリと笑った。
「………念のために聞くけど、3のカイライって何のこと?」
「あやつり人形?」
「………………」
柚子は頭痛を覚えて強くこめかみを押さえた。
「じ、冗談じゃないわよ! そんなの三つとも同じようなもんじゃん!」
「じゃあやめるか?」
証は腕を組んで勝ち誇ったように笑った。
柚子は思わず言葉に詰まる。
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