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「私だって好きこのんでキャバ嬢なんかしてる訳じゃないわよ」
「………お前、あの派手な母親は?」
「そんなの、贅沢ができなくなった途端、男作ってどっか行っちゃったわよ」
「…………マジかよ」
証は呆れたように横を向いて肩をすくめた。
「だけど指名も取れてないヘルプ専門のキャバ嬢じゃ、たいした金にならねーんじゃねーの」
「……………っ」
痛いところをつかれて柚子は激しく証を睨み付けた。
「昼間まっとうに働いたほうがいくらかマシなんじゃねーか」
「昼は大学に行ってるのよ!」
「え」
「夢があるの! 大学だけはちゃんと卒業したいのよ! だから夜の仕事するしかないのよ!」
「…………だけど三千万なんて簡単に稼げる額じゃねーだろ。……それとも枕営業でもする気か?」
「……………なっ」
揶揄のような言葉に柚子の頭にカッと血が昇る。
「そ、そんなことする訳ないでしょっ!」
「だろーな。それなら風俗のほうがよっぽど割がいいよな」
「………………」
嘲るようにそう言うと、証は組んでいた腕を解いて柚子の顔のすぐ横にトンと手をついた。
そうして指で柚子の顎をつまんで仰向かせる。
狭いうえに側に寄られて、証の顔を間近で見上げるハメになってしまった。
(ち、近い、近い!)
後ずさりたくても壁に阻まれて叶わない。
証は威圧するように柚子を見下ろし、ニヤッと笑った。
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