16人が本棚に入れています
本棚に追加
「それって…」
「言葉の通りだ」
もう付き合いきれないとばかりに、フォーネストさんは、再び背中を向けてしまわれました。
それから、私はまるで連想ゲームのように起きてからのことを順立てて思い出していきました。
棺の中で眠っていた私。
その私を売ったサイードさん。
棺の中の私を死体だと思い、購入されたフォーネストさん。
そして、彼の口付けで目を覚ました私。
彼が口付けたのは、死んでいると思った私で…それから、彼の先ほどの言葉。
―生きてる女には興味が無い
―だから生きてる女は面倒で嫌いだ
そこで一つの言葉が頭の中に閃き、さぁっと血の気が引いていきました。
「…ネクロフィリア」
「あ?」
ポツリと呟いた私の声は、どうやらファーネストさんには届いてなかったようで、なんだと聞き返されました。
その彼に慌てて、手と首を振りました。
「な、なんでもありませんっ」
生きている女に興味はなくとも、死んでいる女には興味がある…ということは、私はこのまま殺されてしまうのではないでしょうか…。
「……オレは殺してまで抱く気はねえよ」
心底心外だとばかりに、そう言ってフォーネストさんは、私に背を向けて眠ってしまいました。
最初のコメントを投稿しよう!