トリップ・リップ

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「それって…」 「言葉の通りだ」  もう付き合いきれないとばかりに、フォーネストさんは、再び背中を向けてしまわれました。  それから、私はまるで連想ゲームのように起きてからのことを順立てて思い出していきました。  棺の中で眠っていた私。  その私を売ったサイードさん。  棺の中の私を死体だと思い、購入されたフォーネストさん。  そして、彼の口付けで目を覚ました私。  彼が口付けたのは、死んでいると思った私で…それから、彼の先ほどの言葉。  ―生きてる女には興味が無い  ―だから生きてる女は面倒で嫌いだ  そこで一つの言葉が頭の中に閃き、さぁっと血の気が引いていきました。 「…ネクロフィリア」 「あ?」  ポツリと呟いた私の声は、どうやらファーネストさんには届いてなかったようで、なんだと聞き返されました。  その彼に慌てて、手と首を振りました。 「な、なんでもありませんっ」  生きている女に興味はなくとも、死んでいる女には興味がある…ということは、私はこのまま殺されてしまうのではないでしょうか…。 「……オレは殺してまで抱く気はねえよ」  心底心外だとばかりに、そう言ってフォーネストさんは、私に背を向けて眠ってしまいました。
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