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「あ…」
その彼の背中を見て、自分が大変失礼な態度を取ってしまったことに衝撃を受けてしまいました。
普通の性癖でない彼を知って、驚いたりする事はきっと変な事ではなかったとは思います…むしろ、正常な反応だったのではないでしょうか。
それでも、なぜか胸の辺りがチクリと痛みました。
「申し訳ございません」
彼の背中に向かって小さく謝りました。
しかしこれは、自分の気持ちを満足させるためだけの謝罪でした。
そのことに気づいてさらに気持ちが落ち込みます。
なんと浅ましい事をしてしまったのでしょう。
「気にしていない」
背中を向けられたままそう言われて、私の胸が一度跳ねました。
ああ、どうしましょう。
どうしましょう。
彼の言葉が、胸の中に温かく広まります。
そっと、唇に指を乗せました。
瞼を開けるきっかけとなった温もり…彼の唇。
その事を思い出して、さらにドキドキと高鳴ります。
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