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「…生きてんのか?」
「はい?」
唇に温もりを感じて目がパッチリと覚めました。
その私の目に飛び込んできたのは、とても綺麗な2粒のサファイア。
――いいえ、違いました。
宝石と間違えたのは、どこまでも続いている空のような青い青い色を持った双眸でした。
その瞳を縁取る睫と、さらりと頬に触れてくる絹糸の様な髪は、ペールブロンドでとてもとても幻想的に見えました。
仄明るい中で、そのサファイアの瞳はきらりと煌いて、じっと私の瞳を覗き込んできます。
その瞳がペールブロンドの睫に隠されて見えなくなると、少しだけ寂しくなりました。
――なぜ寂しいなどと思ったのでしょう。
でも私は、その疑問を深く追求する気は起きませんでした。
ただ、私は、再びその瞼が開かれるのを待ちました。
その私の思いは通じ、すぐにサファイアの瞳は現れましたが、それと同時に届いた言葉によって、夢見心地に待っていた気持ちはすっかり消え去ってしまいました。
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