7人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
汗、涙、鼻水。どれがどれで何処から出てきたのか判らなくなっていた。
僕は辺りを見渡す。他の奴等もきっと同じで、無我夢中になって本当に楽しんでいる。
『終わりは始まり』と誰かが言った。
本当の意味とは少し違うかも知れないけど、考えてみるとあの時、僕はこの景色を想像していたんだ。
そして、今。
吹き出る汗でぐちゃぐちゃになりながら──
彼女に出逢った日のことを思い出しているんだ。
曲が終わり、また始まる。
いつだって"終わり"は"始まり"を告げるのだ。
次でラスト・ナンバー。ドラムのスティックが始まりの4小節を刻み始めた──。
最初のコメントを投稿しよう!