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アトムが連れ去られたあと、田鷲警部と警察ロボットのデルタが駆け付けた。
すでに事遅しという状況であった。
「くそっ!また天馬博士か!」
憤りのあまり、田鷲は研究室の壁を殴る。
鈍い音が響き渡った。
「…大丈夫です、田鷲警部。念のためにアトムに発信機を付けておいたので」
悔しがる田鷲に、デルタは発信機の信号探査機を取り出した。
「発信機!?そんなもん、いつ付けたんじゃ?」
話を隣で聞いていたお茶の水は、必死な形相でデルタにしがみついた。
「…アトムが倒れる少し前、アトムが自ら発信機を付けたいと言ってきたんです。
自分が何処にいても分かるようにと…」
デルタはその時のアトムを思い出したのか、暗い表情でお茶の水を見た。
お茶の水はふらりとデルタから離れ、俯く。
「……そうか…
あの子は、こうなる事を予期していたのかもしれんな…」
そう呟いた時だった。
お茶の水の隣から、電気音が聞こえた。
ハッと気が付き、電気音の主に視線を向けた。
そこには天馬の攻撃を受け、傷を負ったアトム二世がいたのだった。
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