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「あとは簡単な話です。
データ状態のぼくは、電子頭脳が貴方のコンピュータに繋がれた時に、潜り込んでハッキングしたんです。
だってぼくは、貴方に作られたんだもの。これぐらい朝飯前ですよ」
いたずらにウィンクをしたアトムに天馬は歯を食いしばる。
「もう、こんな事はやめてください。
ぼくは、ロボットの王になんかなりたくありません。
ロボットと人間、どちらか一方が支配する世界に、本当の幸せなんかありませんよ」
「くぅう…!!何故、分からんのだ……
お前は、私のトビオだ!お前は私の言う通りに動けばいいのだ!!!
私の、私のものだ!!!」
叫び狂う天馬を、アトムの澄んだ瞳が悲しげに見つめていた。
「いいえ、ぼくはトビオではありません。
ぼくは、アトムです」
そう言い終わった時、外からサイレンが鳴り響く。
数秒後、壁に丸く穴が空けられ警察が飛び込んで来た。
「天馬博士!!!もう逃げられませんぞ!!」
田鷲が天馬を捕まえ、素早く手錠をかけた。
背中を丸めて連行される天馬をアトムは静かに見送る。
そして、すぐに視線をアトム二世へと変え、走って近付いた。
「大丈夫かい?さぁ帰ろう。お茶の水博士の所へ」
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