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「ふーんふふーんふふー」
小鳥がさえずる早朝。
台所でウランが機嫌良く鼻歌を歌っていた。
料理器具を使って、なにやら掻き混ぜている。
そしてリビングでは、眠そうに起きて来たアトム二世ことニトロがテレビをつけた。
ニュースにチャンネルを合わせる。
どうやらお天気お姉さんが目当てらしい。
お姉さんが出てくると、ニヤリと笑った。
そんないつもの日常に、足りないものが一つ。
ニトロがそれに気が付き、台所のウランに話しかけた。
「おい、ウラン!アトムは何処に行ったんだ?」
若干離れているため、大声を出す。
それに負けないくらい大きな声でウランが応えた。
「アトムお兄ちゃんなら、まだ寝てるー!!!」
あまりの大きさに、ニトロは思わず耳を塞いだ。
(…?…まだ寝てるだって?)
疑問に思い、ニトロはウランの元へ近付いた。
「珍しいじゃないか。
いつも、おれらより早く起きてパトロールしているのにさ」
「うん。何だか昨日、深夜まで仕事してたみたい。
お兄ちゃんの部屋から音がしてたし」
「…ふーん、ご苦労なこった」
人事のように話すニトロ。
ウランは眉間にしわを寄せ、腰に手を当てた。
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