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その頃。
アトムとデルタは空を飛びながら町を見下ろしていた。
朝の町は、仕事をする人々やロボットで溢れかえっていた。
あちらこちらから活気のある声が飛び交う。
シャッターを上げる店に帽子売りを始めるロボット。
いつもの光景をアトムはじっと見つめていた。
「今日はなんだか人が多いね。どうしたんだろう」
素朴な疑問に、デルタは答えた。
「明日はヴァレンタインだからな。皆、チョコレートの材料でも買いに来たんだろう。
お前の妹も作っていたんじゃないか?チョコの香りがしたぞ。
それに、お前の口元にも」
そう指摘され、アトムは自分の口にチョコレートが付いていた事に気がついた。
慌てて拭き取り、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にする。
すると、今度はデルタがアトムに問い掛けてきた。
「お前はロボットなのに、食べ物を食べれるのか?
…ん?でも前にエネルギー補給していたような…」
「い、いや…食べ物は食べられないよ。ただ、成分分析するのにね。
ウランの奴、たまに危ない物作るからさ…」
アトムはその時の事を思い出したらしく、深いため息を漏らす。
デルタは微笑し、アトムに視線を向けた。
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