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「お前、また前みたいに目が覚めなくなったらどうするつもりだったんだ!!
お前がいなくなった時、色々大変だったんだからな!!
犯罪は増えるし、科学省にはマスコミやアトムファンが殺到するし、交通は混雑するし、お前の友人達が面会求めて来たり!!」
今まで溜まっていた感情が一気に流れ出す。
デルタの声に、ウランとニトロが何事かと扉の影越しに部屋を覗き込んだ。
「……今度また、お前が起きなかったら……俺は………」
そこで俯き、黙り込んでしまった。
手は膝の上で握り拳をつくり、力を込めすぎて震えている。
アトムはそんなデルタを見つめ、布団で口元を覆った。
「……ごめんなさい…
ぼく…もう無理しないよ。人を助けておいて悲しませるなんて…
ただのエゴだもんね…」
アトムはそう言って、しばらく口を閉ざす。
すると、何か思いついた様に笑顔を作った。
「ねぇデルタ。もし…もしもだよ?
またぼくが、どうしても起きなくなっちゃったら……その……きっ……キス………して、くれる…?」
「……なっ!?」
顔を半分まで布団に沈めるアトム。頬を真っ赤にし、デルタから視線を逸らした。
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