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「えっとほら、白雪姫とか眠れる森の美女とかって童話はそうでしょ?
キスって言っても別に口じゃなくていいし、なんて言うか…
ジンクス程度の考えでいいんだ。だからその…あまり深くは……」
咄嗟に言い訳をするアトムは、少し間を空けて悲しげに眉をひそめた。
「…あの、ね。そうしてくれたら、もしかして起きれるかも知れないって…思ったんだ。
………大事な、おまじない…だから…」
綺麗な瞳が揺れる。
デルタはその瞳に吸い込まれる様に、自然とアトムの頬に手を添えていた。
その指がアトムの唇を軟らかく撫でる。
「今、しては駄目か…?」
「………え……?」
真剣なまなざしに、アトムはデルタから目を離せずにいた。
顔が徐々に近付いてくる。
アトムの耳には自分の高鳴る鼓動しか聞こえていなかった。
「……デ…ルタ……」
そう呟いた時だった。
外から騒がしい声が聞こえてきた。
「アトムが起きたんじゃな!!アトム入るぞ!」
「ちょっ!お茶の水博士!!!駄目だって!!!」
「そうよ!アトムお兄ちゃん、今お取り込み中で……ああっ!!!!」
制止するニトロとウランを振り切り、お茶の水は勢い良く扉を開ける。
ほぼ同時に凄まじい轟音が鳴り響いた。
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