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真夜中。
市民が静かに眠る町に、科学省だけが凄まじい光で、煌々としている。
だが、その光はすぐに治まってしまった。
「……何故じゃ!!!
もうありとあらゆる手は尽くしたというのに……!!!
ココロが……あの子のココロが戻って来ない!!!」
スイッチレバーを叩き、お茶の水はその場に崩れ落ちる。
悔しげに拳をつくると、俯いていた顔をあげた。
「…………許してくれ……アトムや……!!」
視線の先には、コードだらけのカプセルに静かに眠る少年の姿があった。
彼の名はアトム。
人間のココロを持ったロボットだ。
彼は先程、青騎士というロボットと激戦を交わし、青騎士と和解したのだが、ロボットを憎む人間の放ったミサイルにやられてしまったのだった。
お茶の水は科学省長官室に戻ると、倒れ込むように椅子に座わる。
「どうすれば戻って来るのじゃ…アトム……」
ため息を吐き頭を抱えた。
そんなお茶の水に痺れを切らした国務総監が、第二世アトム計画を始動させた。
お茶の水は反対したが、人間そのもののロボットを作るという誘惑には勝てなかった。
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