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眠るアトムをコピーするかの如くスキャンして、もう一体のアトムを着々と作っていく。
「もっと人間さを出すために高級人工皮膚を使え!」
「もっと人間性の高い人工頭脳に!!!」
開発グループの人々がバタバタと動き回る。
お茶の水が汗を拭うと、夕子がハンカチを持ってきた。
「博士、少し休憩した方がいいんじゃないですか?」
心配そうに尋ねる夕子に、お茶の水は首を横に振る。
「休んでなんかいられないよ。アトムを完成させねばならんのじゃから」
お茶の水はハンカチを貰い、汗を拭きながら作業を続けた。
そして、ついにアトム二世が完成したのだった。
「アトム二世!!!目覚めよ!!」
ガチャンとスイッチを入れる。
電流が走り、アトム二世はゆっくり起き上がった。
「アトムや!わしの顔が分かるか?」
そう声を掛けると、アトムはお茶の水を見つめて、頷く。
「それより顔を洗いたいから、そこをどいてくれない?」
まだ眠そうに瞬きをするアトム二世。
お茶の水は思いもしなかった第一声に、驚いていた。
「あ、ああ…すまない。今どくよ」
すぐさま洗面所までの道を空ける。
アトム二世は背中を丸めて歩き、欠伸をしながら顔を洗い始めた。
「…なんだかブショウったらしいですなぁ」
「でも人間っぽいと言えなくも無いぞ」
口々に感想をのべる科学者達。
お茶の水は一人、疑いのまなざしでアトム二世を見ていた。
(あんな子で……果たして前作のアトムになれるのだろうか……?)
お茶の水の不安は見事に的中してしまった。
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