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こういう時は黙秘権を行使するのに限る。
梨花
「羽入。あなたもいつまでもあうあう言ってないで出てきなさい」
梨花は後ろで覗きこんでいた羽入を強引に前に出す。
羽入
「あうあう……私は、その……」
刹那
「オヤシロ様がこんなチンケなもんだったとはな……正直落胆した」
羽入
「あう……」
とは言っても、見た目の愛くるしさに惑わされてはならない。これでもれっきとした神様だ。さらに憎まれ口をたたいて祟りでも起きたら洒落にらならない。
これ以上は言わない方が身のためだな。
刹那
「……で。俺に何か用か?」
梨花
「……雛見沢症候群。あなたもわかるでしょ?」
刹那
「……やっぱりか」
だいたいの察しはついていた。
が、よもやここまで当たると気味が悪い。
刹那
「それで、俺にどうしろと?」
梨花
「……あなた、私の為に死ぬことはできるかしら?」
雰囲気が、一変する。重くのしかかってくるような重圧がこの少女をただの子どもではないということを教える。
自分の為に死ぬことができるか。
言ってることだけを見れば頭が狂っているようにしか聞こえないだろう。
だが、その言葉に込められた意味を知っている者としては、そんな軽い冗談で済ませることはできない。
刹那
「……死ぬのは怖くないわけじゃない」
梨花
「……そう。なら、なぜ?」
刹那
「……生きていることが怖いんだ」
梨花
「哲学ね。まぁいいわ。これで契約成立ね」
梨花はにんまりと満足そうに笑う。
その笑みが、物凄くキライだった。
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