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私は鍵を開け、家に入った、中は案外埃はたまっておらず綺麗だった。
「随分綺麗じゃない」
尚子が玄関から顔を出し部屋をみた。
「多分不動産屋が掃除してくれたんでしょう?入って」
中にはいり私と尚子はリビングに向かった。リビングも綺麗にされており、いくつか家具も放置されていた。
「…以前すんでいた人…本当に沢山残していったのね…」
「…結構新しめの冷蔵庫やテレビね…私の家具よりもいいかも…」
「よかったじゃない♪案外綺麗で、んじゃ千景の荷物持ってくるわ」
「あ…お願い、いまのうちに全部の部屋を調べておくわ…」
私は周りの窓を所々開け、空気の入れ替えをした。窓から明るい日差しが差し込み、この部屋全体を照らす。
「…そういえば全部の部屋を調べた訳じゃないのよね。」
私はふと思い、家の中をくまなく歩き回った。家は非常に広く二階建てなのでベランダから音州益海を一望もでき得した気持ちになる。
「ん~結構当たりの物件ね…」
不動産屋で物件をみた時真っ先に目に止まった家がここだった。二階建てで私の働いているお店がある街、阿花霧(あかむ)の隣町なので以前よりも大分近かかった。見に行く事もせずこの家に決めたのでまともに部屋に入るのはこれが初めてだ。思っていたほど部屋数も多く綺麗だったのには驚いた。尚子はまだ戻ってきてないようなので再び家を探索していると、ひとつの部屋に目がいった、板で頑強に打ち付けられ入れないようにされていたのだ。
「……これがあの子が言ってたいわく付きの部屋…か…」
この家を借りる際不動産屋の女性社員からある事を聞かされていた。この家は幽霊屋敷らしく、板で打ち付けられた部屋から足音が絶え間なく聴こえる事があるらしい。それを聞いたときは特に気にもしなかった、幽霊は私自身信じていない訳ではないが、だからといって過敏に反応する訳でもないのでそれ程気にもしなかった。
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