第壱夜~赤い鬼~

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「………近いな」 気のせいか少し赤みがかって見える今夜の月は、満月。いつもなら夜は優しい光で包まれるが、今日は重い。風は涼しい。しかし、その涼しさが夜の闇を深く、冷たくする。 その深く、冷たい闇の中、一匹の生き物が何かを探すように屋根から屋根へ飛び回る。夜の静寂を破らないように。 「ッ!」 突然、その生き物が動きを止めた。 「マジかよ… クソッ!なんでこんな時に!」 タッ タッ タタンッ その生き物はそういうと闇に消えていった。真紅の瞳と髪と一緒に。
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