第伍夜~暁 紅輝~

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「えッ?でも……」 「はい。僕は人間の姿をしています。」 「どうして?」 「いいですか?鬼道と言うのは術者の心に非常に影響されるのです。正の心なら鬼道は僕達自身に還元され、僕達の助けになってくれます。 しかし、負の心なら………! 肉体と精神は鬼道に支配され、恐ろしく、醜い鬼になってしまうのです。」 その話を聞きしゃべれない侑希。 そんな侑希を無視して紅輝は話を続けた。 「僕達はそんな奴らを“欲望が満たされず、常に欲望の飢渇に苦しむもの”と言う意を込めて、“餓鬼”とよんでいます。 昨日あなたが襲われた化け物のことですね。」 「全然鬼っぽくなかったじゃん!!」 「でしょうね。」 「でしょうねって!!」 「人を食べると、あぁなるんですよ。 欲望が満たされず、刺激がほしくなる。暴れだし、人を殺す。物足りずそれを食べる。 人間と鬼の細胞は本来水と油のようなもの。決して交わってはいけないもの。 鬼にとって人間の血肉は禁断の果実。口にしたら最後、完全に餓鬼に堕ちてしまいます。」
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