第伍夜~暁 紅輝~

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「そう言えば、人の肉はうまいらしいですねぇ……」 そういいながら侑希をにらむ。 「ひッ……………!」 「冗談ですよ」 と、無表情に言う。 侑希は、このやろ と思いつつも 「でもさぁなんで鬼は人間を助けるの?」 質問する 「あっ、いやありがたいんだけどさぁ、 人間にしか危害を加えないんなら、君達にはあまり関係ないんじゃない?」 確かに、鬼には直接関係ないことだ。 「関係あるんですよ。」 「なんで?」 「……… 最初は罪滅ぼしのようなものでした。僕達鬼中からそんな化け物を出してしまい、あなた達に迷惑をかけた。 でも、罪滅ぼしだったからこそ鬼達は全力をそそがなかった。 自分の命に直接は関係なかったから。 しかし、餓鬼は人を襲い、そして人を食う度に力をつける。 力をつけた餓鬼はとうとう鬼を襲うようになった。 そして、鬼を襲えるような餓鬼を全滅させようと、戦争がおこった。」 「でも………そんな戦争知らない……」 侑希がつぶやく。 「気付かなかっただけです。 その頃人間同士でも戦争してましたから。」 「……なんの……戦争?」 「関ヶ原です。」 「へぇ……」 「まぁ関ヶ原はおいといて。 もう餓鬼を産み出さないために、また鬼を襲えるまでに成長させないために、起こした戦争の名前は“無間大戦(むけんたいせん)”」 「敵、味方関係なく沢山の鬼が死んだ。 それでも決着はつかず、鬼達は鬼門を隔てて、霊界と人間界二つの世界にわけた。 そして霊界で戦い続けたんです。」
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