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「なんでわざわざ霊界で戦ったの?」
「関ヶ原が終わってしまい、無間大戦が目立つようになってきたというのもありますが、“大戦中も餓鬼が強くなっていく”というのが一番の理由です。」
「そうか!餓鬼は人を食べて強くなるから……!!」
なるほど!!!!
と言う顔で侑希は言った。
「そうです。
ただ正確には人間じゃなくて、人間の欲望を食べているんですが……」
「欲望…………?」
「餓鬼は欲望の飢渇に苦しんでいると言うのはさっき言ったでしょう。」
「うん。」
「それを他人の欲望で埋めようとするんです。
だから欲望が強い奴ほど餓鬼を引き付け、襲われやすい。」
「私も欲望が強いってこと!!!?」
侵害よ!!!!!
と言わんばかりの口調で言う。
「そう熱くならないでください。“襲われやすい”といったんです。」
「あっ!………ご、ごめん。」
「別にいいですよ。」
「……でも……なんで私……」
「餓鬼は欲望にひきつけられますが、引き付けた本人を食った後、その付近で狩りを続けるというのはよくあることなんです。
恐らく、あの大吾という少年もそうでしょう。」
昨日殺された人の名前が出れば誰でも普通は悲しむだろう。
でも侑希は平然と
「でも欲望をたべるんでしょ?欲がない人食べて満足なの?」
と質問した。
これが紅輝の……
鬼道の力なのだ。
殺された人間を知る人物が普通に生活ができるように被害者の存在を忘れさせると同時に、失った悲しみも消し去るのだ。
紅輝は少し安心した。
そして質問に答える。
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