一章 風の強い日

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待ち合わせの場所には、既に光弘が立っていた 『おせ~よ』 そう言いながら光弘は、無造作に缶コーヒーを差し出した 『ごめん みっちゃん』 『忘れて寝てただろ?飲み過ぎなんだよ』 『悪いな、勝ったら奢るから』 ポケットからカネを取り出しチラつかせた 『オッ 結構持ってるじゃん』 『バイトのカネだよ』 『そういや今日もバイトあるのか?』 『いや…辞めた』 『エッ 辞めたの?何でって…どうせ店長と揉めたんだろ』 『……あの店長 バイトの女の子に嫌がらせしてさぁ、ムカついたから軽くボディー入れたら大袈裟に騒ぎやがった』 『お前の軽くは普通の人には軽くじゃないの』 光弘は少し呆れているようだ 『まっ、これから競馬で稼ぐさ』 『負けてバイト探し手伝えって言うなよ』 『この風がさぁ、何か勝たせてくれそうな気がするんだ』 風が気持ちいいほど強く吹いていた 『はいはい、そうだといいけどねぇ』 話して歩いているうちに競馬場が見えてきた
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