一章 風の強い日

4/14
前へ
/130ページ
次へ
オッズを見ながらコーヒーを飲んでいた 中は空調が効いていて、汗ばんだ身体には心地いい 光弘はトイレに行ったみたいだ 『スノー やっぱり来たんか』 ”ヤン”から声を掛けられた 『ヤン、今日は勝っているのか?』 『いや さっぱりだ、まぁ次のレースで取るだ』 こいつは岡崎、通称”ヤン”だ ヤンとはここで知り合った …こいつはとんでもなく短気だが、根はいい奴だ そして強い 初めてあった時もここで、こいつに因縁つけられたっけ たしか…… 『この馬で張る奴いるのかよ』 小さな声で言ったつもりだったが 前にいた男が振り返りこっちを見た 『文句あるだか』 その方言で思わず笑ってしまった 『お前バカにしとるだか』 『いや、別にそんな訳じゃないけど』 『ちょっとこっち来いや』 ”短気な奴だな”と思いながらしょうがなくついて行った
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加