一章 風の強い日

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二人は眼が合ったまま動けなかった 『こんな所で何やってんだ』 光弘の声がするが、振り向かなかった と言うより向けなかった ヤンは右腕を動かしながら口元だけニヤつかせている 右の頬がヒリついて熱く感じている 久しぶりの感覚だ 動かないのはお互いに、同じ事を思っていたからだ …コイツ………強い! 光弘がすぐ後ろまで来た 『やめろってスノー、こんな所で揉めてたら警備員がすぐ来るぞ』 『何だいやお前は、さっきからスノースノーってうるせぇだっちゃ』 苛ついた表情でヤンは言ったが、何かに気が付いたようで 『……スノー!お前もしかしてN高の雪村か?』 『誰だお前?』 『ハッ、やはりな。俺はT県S高の岡崎だ』 少し自慢気な表情をしながらヤンは言った
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