一章 風の強い日

8/14
前へ
/130ページ
次へ
中に戻った頃レースは最終コーナーに差し掛かっていた 歓声があがりゴール! 『マジかよ、あの馬が来たのかよ?』 『取れなかったのかスノー』 『ああ、みっちゃんもか?』 『いや俺はこのレース、買ってなかったよ』 ハッハッハッハッ 後ろから、わざとらしい笑い声がする 『見たか雪村、お前がバカにしとった馬だで。俺は来ると思ってただ』 ヤンは随分嬉しそうな顔をしていた 『あっそ、そりゃ良かったな。行こうぜみっちゃん今日は駄目だ』 そう言いながら行こうとした時 『待てや』 ヤンが声を掛けてきた 『しつけえな、ちゃんと謝っただろ』 面倒くさそうに言うと 『お前らもう帰るだか?』 『ああ、そうだよ』 光弘が返事をした すると、ヤンは小さな声でボソッと何か言った 『エッ、何?』 聞き取れなかったので、聞き返すと 『だけぇ、来んだか?』 『はぁ? 何処に』 『お前ら、どうせカネないんだろ。俺が飯でも奢ったるが、ヨソ者同士のよしみだわ』 『はぁ~?』 スノーと光弘は顔を見合せると 意味を理解しニヤッとした
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加