一章 風の強い日

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ヤンに付いて店に入った 『いらっしゃい』 威勢のいい大将の声がする 『オッ悠哉か、なんだ友達か』 『はっはい。まあ友達と言うか、高校時代の知り合いと言うか』 ヤンは照れくさそうにこっちを見た 『俺はここで板前の修業をしとるんだわ』 『へえ~寿司屋ねぇ』 光弘が見渡しながら呟いた 『悠哉~、稼いだ金で競馬とかしてるんじゃねえだろうな?』 『しっしてませんよ大将。俺、馬とか分かりませんから』 後ろで二人は小さな声で、嘘つけと呟く 席に着き注文を考えていると、ヤンが大将に尋ねた 『大将。今日は休みなんで、これいいですかね?』 ヤンは酒を飲むしぐさをして見せた 大将はチラッと三人を見渡し 『少しだけだぞ』 とこっちを見ずに言った
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