第1話「逮捕」

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鎌田の持ちビル 来る途中何度も電話はしたがいくらしても出ない。 インターホンを押す。返事はない。 一度や二度のバックレではない。 しかも一度の注文単位がでかいだけにこちらの損害もでかかった。 陽色の怒りは頂点に達していた。 ドアノブを引く。鍵は掛かっていなかった。 土足のまま中へ入り、 3階にある鎌田の部屋を開ける。 足の踏み場もないほどゴミで散らかった室内。 しかしそのゴミの中に紛れて落ちているのは、紙屑のようにクシャクシャに丸められた一万円札の数々、 ブルガリの時計、 ヴィトンのカバン、 エルメスの財布…。 そして空のシャブのパケと使用済みのポンプ。 金は腐るほど持っているが、 何年も部屋を片付ける事も出来ないほどだらしなく不潔で、 ポン中の鎌田の部屋の光景は異常だった。 その宝とゴミの中で鎌田は全裸で寝ていた。
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