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「という話があるんじゃ。摩耶ももう16になるんだね。プライが悪魔になったのも16だと言われておる。摩耶も悪魔には気をつけるんだよ」
「何回目よ!!耳にタコができるくらい聞いたわ。それに悪魔って本当にいるの?あたしは自分の目で見たものしか信じないわ」
彼女の強気な声が小さな家の中に鳴り響く。
それと対照的に、優しげな老婆の語り声が聞こえる。
「おやおや、悪魔は誰の心にもいるもんだよ。悪魔に心を乗っ取られないように、素直な心を持ち続けるように、そんな願いを込めた昔話なんだけどね」
「もー。おばあちゃん?あたしをそんな風に育てた覚えはある?…ないでしょ?今日は誕生日なんだから、少しは景気のいい話してよ!」
「おやおや…」
彼女のふてくされた顔にでさえ老婆は微笑みを崩さない。むしろそれさえ愛しいのだろう。
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