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死神の私に与えられたのは、一つの城だった。
人々に捕らえられ、蔑まれ、憎まれる。私がやっていた事は、優秀な死者の魂を、神の働き手として天に捧げる事なのに。
「なぜ捕らえられる。なぜ蔑まれる。なぜ憎まれる。なぜ…………」
私は、炎に囲まれた城の一室で、鎖で手を繋がれていた。仕事に対する報いがこれなのか。
炎の牢獄と呼ばれたこの城は、人間が私達を捕らえ、閉じ込めておく為の城だ。今も、窓を見れば灼熱が窓をなめ回している。
私の仲間の戦乙女も、同じようにして消えていったと聞く。今も、私はその仲間と、同じ道を歩もうとしているのだろうか。
「もう何日目なんだろうか……」
炎のせいで、昼か夜か。何日経ったのかすら分からない。神とさえ言われ、昔は人間から崇拝されたというのに、鎖に繋がれた衰弱した自分の手を見ていると、滑稽で笑えてくる。
報われない人間の想いなど、いくらでも見てきた。理不尽だと思うし、やるせなくなった事もある。
だが、こうして自分に降りかかってみると、それは諦めと共にあっさりと受け入れられてしまった。
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