序章

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彼は大きな荷物を抱えていた。 師匠である教授が片付けられない人間で、 研究室の掃除は、大学院後期課程の学生でありTAとしての彼の仕事の一つだ。 今日も研究室に収まりきらない過去の報告書の残りや 学会の資料の残りを運ぶ。 季節は春。 まだ新入生が入ってきたばかりで、 キャンパス内の人通りも多く、活気がある。 GWが明ければアッという間に大学に来る学生は減り、 また歩きやすいキャンパスが戻ってくる。 これが常だ。 「人生の夏休み」である大学生活は そんなもんでいいと彼は思っている。
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