黒と白

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「がァ…ッ!」 弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。 飛びそうになった意識を何とか繋ぎ止め、ふらつく足で立ち上がる。 「肉体強化もできない………か」 魔力による強化無しでは恐らく逃げ切れない。 そう判断したレイルは、剣を抜き、既にこちらを向いていた猪と向き合う。 鼻息荒く、雄叫びを一つあげ、それは再度突進を始めた。 (毛皮は堅いように見えるし、どうやら瞬発力も十分にある。ならば――) レイルは体の痛みを無視して、相手向かって走り出す。 相手へと後3メートルというところで、左足に力を込め全力で右に飛び出す。 当然の様に猪は即座に反応し、強靭な後ろ足で左に方向転換し、更に加速をする。 しかしレイルは足が地面に着くや否や、体を反転させ、右手に逆手に持った剣を猪の右肩へと突き刺した。 (…それを利用すればいい) カウンターの容量で繰り出されたそれは、毛皮を容易に突き抜け、猪は崩れ落ちる。
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