母殺しの鬼

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「なっ…!なぜ…!?」 母の声は愉悦から驚愕の声へと変わる それもそのはず 確かにお清の心臓は刀が深々と胸を貫いていた 血も辺りを真っ赤に濡らし土の色が解らなくなるほどだ 普通は多量の出血死、ショック死のはずだ だが――― だらんと力なく垂れていた小さな手は今自らの胸の刀を抜こうとしている 「なっくっっ!!」 反抗しようとより力を入れるもその力も恐ろしいぐらいの馬鹿力にはね除けられる どんなに抵抗しようもどんどん刃は外へと出てくる 辺りは肉がえぐれる音、血が溢れる水音で響く 真っ暗な夜の闇の中一人の少女は人間から怪物へと変わる
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