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「ちょっと試したい武器が出来たんだ。ほら、教会の武器に黒鍵の火葬式典ってあるだろう?アレを改良して燃やすんじゃなくて爆発するようにしてみたんだ。名付けて、爆葬式典。」
黒鍵とは投擲用の西洋剣で、聖堂教会の代行者が用いる武装の一つだ。だが近年は使いにくさで愛用する代行者は殆んどいない。火葬式典とはその黒鍵に刻む魔術の一つだ
「呆れた…。その歳でオリジナルの術式を構成するなんて、貴方位よ。」
「まぁまだ改良は必要だけどな。実際爺さんには全く通用しなかったし。もっと爆発速度を早めなきゃな。」
早くも改良点をあげ、どのようにするか考え出した爽也を、アルトルージュは少し懐かしげな表情で見遣りながら、ポツリと呟く。
「……変わったわね。」
「ここの式を少し……ん?アルトルージュ何か言った?」
「いいえ、何も言ってないわ。」
「そう。」
呟く声が聞こえたのか、爽也はアルトルージュの方を向くが、直ぐに視線を戻し、考えに没頭する。アルトルージュはそんな爽也を見つめる
(もう3年にもなるもんね。)
アルトルージュは今でも覚えている。あの雨の日の夜とずぶ濡れになった少年を。
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