354人が本棚に入れています
本棚に追加
ところが欲に目の眩(くら)んだ足軽達は、林など目も呉(くれ)なかった。
軽装の足軽達は足が早く、逃げる尼子勢に、もう一息で槍が届くところまで迫っているのだから無理も無いことだったのだろう。
従って、尼子勢の伏兵が横合いから突出して足軽達を横撃しても、槍を着けられるまで気付くことが無かったのである。
伏兵の槍に突かれた足軽達は、断末魔の悲鳴をあげながら、勢い余って転がった。
「敵は崩れたぞ!」
伏兵の指揮を執っているのは神西元通である。
「一気に突き崩せ!」
この策は伏兵を放つ機が重要である故、鹿介は、歴戦の元通に指揮を託したのだ。
元通は見事にその付託に応え、絶妙な間合いで伏兵を放ち、武田勢の足軽達を混乱に陥れた。
「今ぞ!」
鹿介は、足軽が混乱して乱れたのを見ると反転攻勢を命じる。
突然反転して襲って来た鹿介に、恐慌した足軽が、槍を振り回して反撃した。
最初のコメントを投稿しよう!