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尼子勢に追われた足軽達は、川を渡りつつある武田勢本隊と鉢合わせして混乱した。
そこへ鹿介は、
「そのまま川へ追い込め!」
と大音に命じる。
鹿介の命に応じた尼子勢は、更に厳しく足軽達を追い立て、追撃を受けた足軽は、ようやく川を渡り終えた後続部隊を巻き込んで川へ身を躍らせた。
川中で流れに足を取られて動きの鈍った武田勢に、尼子勢は、川岸から激しく攻め立てる。
川中は逃げ惑う足軽達の悲鳴と馬上で身動きの取れなくなった武士達の怒号と、川面を破って倒れていく者が発てる盛大な水音が、混乱の度を深めていく。
一向に混乱を鎮めることの出来ない武士達は、遂に戦線の維持を諦めて退きはじめた。
指揮官たる武士が退きはじめると、それを見た足軽達は恐怖に囚われて逃げ出してしまった。
「深追いは無用ぞ!」
敵が崩れて、我先にと逃走しだしたのを見て、鹿介は、川の中ほどで追撃を打ち切った。
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