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元々、尼子勢としては、逃げ場が無いために自衛手段として戦ったのであるから、敵が戦意を失えば、これ以上の戦闘は必要無かったのだ。
武田勢は、武士2人を含む20人以上の兵力を失って退却していった。
その大半は、川岸での混乱の最中に討たれたものである。
尼子勢からは、2人の死者を出したのみであったから、これは大勝と言って良い。
狭い国土に武士達が闊歩していたのであるから、このような遭遇戦は、始終行われていた。
結局この予期せぬ遭遇戦が、勝久にとっては初陣となったのである。
それでも、この初陣を見事勝利で飾った勝久に鹿介は、
「御勝利お目出とう御座る。」
と馬上の姿を振り仰いだ。
別働隊を率いていた神西元通も、本隊に合流し、
「重畳至極に御座る。」
と勝久が初陣の勝利を祝った。
勝久は、
「その方が采配、見事であった。」
と鹿介を見返すと舒(おもむろ)に答えた。
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