但馬

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「うむ、ただでさえ敵に劣る兵力を二手に分けた時には、どうなるかと思ったぞ。」 と神西元通は鹿介に笑い掛けた。 「しかし、足並を乱して兵力を分散するとは、咄嗟に良くそこまで考えたものだな。」 と鹿介の機転を讃えた。 往々にして、不意の遭遇戦は、双方の意思に反して激しい戦闘になりがちである。 予期していないだけに、互いに引き際が分からないまま、戦闘だけが不必要なまでに激化するのだ。 消耗戦を避けたい鹿介は、敢えて正面決戦を挑まず、策を設けて応じたのである。 そんな鹿介は、周囲を見渡した時、川と林を利用して戦うことを思いついた。 しかし、小助がいなければ、この策は成り立たなかったであろう… 鹿介は傍らの小助を指して、 「小助の正確な知らせの御蔭で、策を施すことが出来たのだ。」 と皆に向かって言う。 「勿体ないお言葉です。」 と生真面目な小助は、神妙な面持ちを崩さない。
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