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「して、兵数はどうだ。」
と鹿介は続けて聞く。
「此処へ至る刻限は?」
「兵力は、総勢約60人。」
報告する武士は、問いに応じて次々と答えてゆく。
「うち騎馬武者が10騎ほどです。」
「此処まで敵が至るのは、後半刻の見込み。」
後半刻では、辺りは薄明るくなる。
奇襲を掛けること出来ないだろう…
「ふぅん…」
鹿介は軽く鼻を鳴らすと、
「皆を起こせ、殿には俺が報告しておく。」
と素早く命じて立ち上がった。
尼子勢は急いで身支度を調えると、燃え残りの燻るおき火を掻き消す。
鹿介は、素早く周囲を見回した。
そして、主君勝久の許可を得て軍の指揮を執ることとする。
鹿介は兵力を二手に分けて、一隊を林の中に伏せた。
その林は、ようやく緑が芽吹き始めたところで、葉もまだ茂っていない。
このため、完全には身を隠すことは出来ず、夜が明ければ伏兵の意味を成さないだろう。
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